2025.01.16

ワールドメイトのベースとなる神道について

Fuziwara

ワールドメイトのホームページを見ると、「ワールドメイトは日本古来からの宗教、神道をベースにした宗教法人です」との一文があります。

日本古来からのというところがミソで、これは６世紀に仏教が伝来する以前から日本に存在していた民族宗教のことで古神道と言われています。明治以降に新たな神道の形として形成され、戦後米国から国家神道と呼ばれたものとは違います。

明治政府は、それまでの武家社会から、天皇中心の政治に戻しました。江戸時代は寺請制度により、事実上仏教が国教のようになっていましたが、仏教への不満からの反動もあったと思いますが、神仏分離令が公布されると、廃仏毀釈運動につながってしまいました。

それは明治政府が意図したことではありません。明治政府が神道を国教に据えたかったのは事実ですが、仏教の協力により国民への教化を進めるつもりだったようです。

しかし長い間続いた神仏習合をなくしてしまったことが、結果として神道だけで教化を進めていくハメになります。ところが神道グループの間にも考え方の相違があって、それもうまくいかなかったようです。

仏教勢力や、あるいはキリスト教の西洋諸国からの批判もあり、明治政府は神道国教化を諦め、明治憲法では信教の自由を保障することになります。

しかし明治政府は、「神道は宗教にあらず」という解釈に変えてきます。神社神道や皇室神道の祭祀を国民の行事として行うことにします。事実上の国教化と言えますね。また、神社神道とは違う、いくつかの神道系団体は国が公認し、教派神道と呼んで宗教の扱いにしました。

ワールドメイトは、もちろんその時代には存在しませんが、その分類でいけば、教派神道の一つということになります。

その後、明治政府が行う神道政策は、軍国主義の台頭とともに、本来の意図とは違う形で国威発揚に利用されます。そのために戦後は、欧米諸国から戦争に至る原因の一つに神道の存在があると思われてしまったのでしょう。

本来の古来からある神道の特徴は、神社で祈祷を受けるとわかるように、「生業（なりわい）ゆるぶことなく、家門（いえかど）高く富み栄え」という祝詞にも象徴されています。

つまり神道は、現実の繁栄に重きをおく宗教といえます。神社では「商売繁盛」や「無病息災」「災厄消除」「社運隆昌」など、個人の生活や家、会社や社会が栄える祈願などをもろに掲げています。キリスト教やイスラム教、仏教などと、そこは違うところですね。仏教も日本に入ると神道化していき、現世利益を謳うところも多いですが。

おそらく神社やお寺で、神道や仏教の信仰を通して現世利益を感じている人は、かなりいるのではないかと思います。そうでなければ、神道も仏教も長い歴史の中で勢いを失って、キリスト教をはじめ、他の宗教の占める割合がかなり多くなったのではないかと思います。