
第3回世界オピニオンリーダーズサミットに、トニー・ブレア、ジョン・ハワード、フィデル・ラモス元大統領、首相らが出席

10月17日、第3回世界オピニオン・リーダーズサミットが、東京プリンスホテルで開催されました。今回も参加してきました。出席したオピニオンリーダーの皆さん、とても熱かったです。
第3回世界オピニオン・リーダーズサミット概要
「第3回 世界オピニオンリーダーズサミット」
- 2014年10月17日(金)
- 主催 世界開発協力機構(WSD)
- 後援 外務省、防衛省、東京都、公益財団法人 日本国際フォーラム、パシフィック・フォーラムCSIS
- 会場 東京プリンスホテル「鳳凰の間」
【スペシャルゲスト】
- トニー・ブレア元英国首相
- ジョン・ハワード元オーストラリア首相
- フィデル・ラモス元フィリピン大統領
- 高村正彦自民党副総裁
【パネリスト】
- カート・キャンベル元米国務次官補
- ラルフ・コッサ・パシフィック・フォーラムCSIS理事長
- ブレンダン・スキャネル駐デンマークアイルランド大使、元駐日アイルランド大使
- ヒシャム・バドル・エジプト外務次官、元駐日エジプト大使
- 伊藤憲一日本国際フォーラム理事長
- 平林博東アジア共同体評議会議長
【モデレーター】
- 半田晴久WSD総裁

海外から、3人の元首相と大統領が来日
今回メインゲストとなる、海外の元大統領および元首相3人のうち、フィリピン元大統領フィデル・ラモス氏は、カリスマ性抜群でした。熱く熱く平和への取り組みを語ってくれました。まさかあそこまで大胆不敵に、ドラマチックに語る人物だったとは、初めて知りました。しかも86歳になるのに、かくしゃくとして気力に溢れているように見えました。
今回がサミット参加2回目となる英国元首相のトニー・ブレア氏は、物腰の柔らかい英国紳士然とした人物で、深見東州先生との息もぴったりに感じました。前回以上にリラックした雰囲気で、ジョークも連発していました。
ブレア氏もですが、出席したリーダーの方々の笑顔が印象的でした。心から楽しんで参加されているのかなと思いました。それだけ人間関係ができているのかもしれませんね。それでも本題に入ると、ブレア氏のトークは風格を感じさせる抜群のスピーチ力で、聴衆を引き込みました。
もう一人のゲスト、元オーストラリア首相のジョン・ハワード氏は、地政学的にヨーロッパ、アメリカ,アジアの3方向からの影響を受けてきたオーストラリアを、経済的発展に導いてきたと紹介されました。バランス感覚に優れた、柔軟な人物という印象を持ちました。
いずれも国際社会において、さまざまに活躍してきた大物政治家たちだけに、優れたリーダであることは間違いないと思います。そんな人物と、深見東州先生は絶妙のやりとりで、本音を引き出していました。報道では聞けないような見解もあったと思います。
今回のような雰囲気で、世界の諸問題についての議論が行われると、聞く方も興味深く聞けますね。テーマから脱線した話も含めて面白く、有意義なサミットでした。長時間に及んだことを感じさせませんでした。
新聞の報道より
今回も、前回よりさらに多くのメディアが報道していました。サミットの内容については、それらの報道をそのまま読んでもらうのが良いかと思いましたので、雰囲気がよくわかるものを中心に、いくつか気になったところを、紹介しておきたいと思います。
「今日は、私の親しい友人に集まっていただきました。『グローバリゼーションにはチャンスと課題がある』をテーマに語り合いたいと思います。」世界開発協力機構の半田晴久総裁のあいさつに合わせて、親しい友人たちがステージ上に現れた。会場からどよめきが起こる。トニー・ブレア元英国首相、ジョン・ハワード元豪州首相、フィデル・ラモス元フィリピン大統領・・・。11人の友人たちによる「第3回世界オピニオンリーダーズサミット」(主催 : 世界開発協力機構、後援・外務省、防衛省ほか)が、10月17日、東京都港区・芝公園の東京プリンスホテル鳳凰の間で開催された。
「シンポジウムとサミットの違いはわかりますか」半田晴久総裁が会場に問いかける。「シンポジウムは学者が専門分野を解説するものです。いっぽう、サミットはテーマに沿ってそれぞれが思いついたことを話しますから、話は横道にそれます。それがサミットの面白さです。」
さっそく話がそれていく。そらしたのはトニー・ブレア元英国首相。「いろいろな人に『これまでに面白い人に会っているでしょう?』と聞かれます。ある友人には『日本の半田氏は、めちゃくちゃ面白い。彼にあったら、しないことを聞いてごらん。(彼はしないことがないから)』と教えました。」二人だけの秘密をバラしたいたずらっ子のように、半田総裁を振り返るブレア氏。会場から拍手と笑い声が起きる。
「ビジネスマン、フィロソフィスト、それに絵を描き歌も歌うし・・。(できないことがない)半田総裁に招かれ、ここに一緒にいられることをうれしく思います。」ブレア氏の言葉に会場の雰囲気がやわらぐ。もっとやわらげようというのか「僕は若い頃、ロックバンドの歌手だったんです。髪を腰までのばして。その頃、ソーシャル・メディアがあったら、すぐに激写され、今、ここにはいられなかったでしょうね。」
どんな写真を撮られそうだったのか。気になるところだが、ここで軌道修正。「グローバリゼーションは必要です。心が開いている人はチャンスと捉え、繁栄につながると考えます。いっぽう、心を閉ざしている人は、(自分にとっての)脅威と捉え、リスクにさらされると考えます」。教育を整備し、経済を開放することで、世界は成功を収めてきた、と強調する。
「グローバリゼーションを推進するには構造改革が必要です。リーダーの仕事はチェンジメーカーであることです」。グローバリゼーションには課題もある。貧困、テロからの脅威・・。それらには、西洋と同盟国が協力し、これからも支援を続けなくてはいけないという。
アジア・太平洋地域の立場から、ジョン・ハワード元豪州首相が話す。「グローバリゼーションのメリットに目を向けたい。日本はアジアの古い友人ですし、経済、外交、共通の目的意識において、もっとも良い友人です。日本は経済力を強化しようとしていますが、それは世界の経済に貢献しています。グローバリゼーションの勢いをいかに維持するかが大切です。労働市場の自由化の遅れはスタグフレーションにつながります。グローバリゼーションの力、資本主義の力を信じてください。貧困を脱却しましょう」。
会場を埋めた聴衆の中には外国人も多く、英語のわかる日本人もかなりいる。ハワード氏の一つ一つの言葉に反応する。それを見ていた半田総裁。持ち前のサービス精神がムクムクと湧いてきたらしい。なんと英語での笑いをとりにきた。「(オーストラリア人の発音はイギリス人、アメリカ人とは微妙に異なり)ニュースペーパーはニュースパイパーですからね。今日(today)はトゥデイではなく、トゥダイ(to die)。先ほどハワードさんが『死ににきた』と言ったと思いびっくりしたんです」。会場が湧く。「ラモスさんのお話をお伺いしましょう。ラモスさんは現在86歳です。今でも週に3回、ゴルフをするそうです。とてもお若いですよね。どう見ても84歳にしか見えません」。
上げたり下げたり。不思議なのは、世界の歴史を作ってきたリーダーたちが、半田総裁の一言一言に大笑いしていること。親しい友人ならではなのか。まるで「半田には負けるよ。口がよく回る。感心するよ」と言っているかのよう。会場もリラックスムード。
フィデル・ラモス元フィリピン大統領が壇上に立つ。鋭い眼光。一徹という言葉がピッタリする。独裁政権を倒し、フィリピンに民主化をもたらした老政治家は何を語るのだろう。「(鋭い視線で半田総裁を見ながら)フィリピンには『ハンダ』という言葉があります。その意味は」。ラモス氏の言葉に半田総裁が身を乗り出す。何を言われるのか。「準備をする、という意味です。私は今日のために、2時間分の原稿を用意しました。」おもむろにスラックスの下、靴下に挟んだ原稿を取り出す。会場から笑いと拍手が湧く。半田総裁も、ブレア氏、ハワード氏も笑っている。上には上がいるなと感心しているかのよう。
「平和と繁栄がグローバリゼーションの結果であるべきです。グローバリゼーションの脅威は、エボラ出血熱、国際的テロリスト、気候変動、貧困です。何億人という人が貧しく、機会を与えられていません。私たちはそれと戦わなくてはいけません。」ラモス氏の言葉に熱がこもる。「そのためにも、日本、フィリピン、アメリカ、ベトナムが同盟を組むべきです。(その結びつきの強さは)国連に対抗できるほどの・・」。ここで、笑い声が会場に響いた。同時通訳者がラモス氏の壮大な思想とその内容の先進性に驚き、つい笑ってしまい、それがマイクに流れてしまった。半田総裁がフォローする。「ラモスさんはスゴい。私はいろいろな会議に出ていますが、こういうサミットで同時通訳者を笑わせた例は初めてです。ラモスさん続けて」。
「各国間のライバル意識はもういらない。自分の国のためだけでなく、世界のために、テロ、温暖化、貧困と戦わなくてはならない。一丸となり、団結し、チームワークを発揮しましょう」。
スポーツ報知2014年10月25日付紙面より

ブレア氏は基調講演でエボラ出血熱の流行、気候変動、テロなどについて触れた。「これらの問題は地域に限らず世界へ大きな影響を与える。これまでと違った切り口でアプローチしないと解決できない。」と指摘した。具体的な対応として①テロからの脅威を防ぐためには、宗教、民族などを超えて教育を施すことが大事②新しい経済大国の誕生には恐れることなく理解することが必要。その上で同盟国が力を結集してリーダーシップを発揮すれば良い③自分で考え自由に行動し実行していく国民に対し、リーダーシップを発揮する場を与えることが重要、と説いた。
メーンテーマの「グローバリゼーション」については、心の開かれている人はチャンスと受け止め、心が閉じている人はリスクにさらされると受け取る。チャンスをつかむためには常に関心を持ち続けることが必要と話した。ディスカッションでは「グローバル化を止めることはできないが、その反動でテロリストが生まれているのも事実。政府はそんな事態に備えて準備をする必要がある」という。
半田氏からグローバリゼーションに関する今後の展望について聞かれると「各国とも推進するでしょう。そのためには構造改革が不可欠で、国の指導者はチェンジメーカーになることが求められます。貧困に対しても諦めずインフラ、教育システムを変える努力をすべきです」と答えた。
ハワード氏は首相を12年間務め、この間960億ドルあった連邦政府負債を返済。税制の改革、労働法の改革なども行なった。基調講演では「過去の経験がなければ、将来の青写真は描けない。オーストラリアは貧困から脱したが、グローバル化をすべて同じやり方で行うと貧困が増えてしまうこともある。その国の事情に合わせたものにしないといけない」と話し、「日本とオーストラリアは昔は敵だったが、共通の価値観、態度を持ったことで強固な関係が築かれ、ベストフレンドになったのです」と説明した。
気候変動への対応について「日本のテクノロジーに期待したい」という。グローバリゼーションの未来の展望と期待は「先進国が自由化貿易をオープンに行うことが必要だ。どの国に対してもシャッターを閉めないようにと政府に言っている」と明かした。
86歳のラモス氏は「政界は引退したが有効期限は切れていません」と元気いっぱい。6年間の在任中は経済の活性化と貧困の撲滅に力を注いだ。基調講演では「平和について話します」と切り出した。グローバリゼーションの拡大は利点も多いが、大量破壊兵器を持つ国が増えているマイナス面もあると強調。「我々はそういう世の中に住んでいることを自覚しなければいけない。だから平和の話が必要なのです。」と訴えた。そしてワンワールドを作るためには「思いやりを共有し互いに愛を持って一丸となり、団結し、チームワークを強固にすることだ大切」と付け加えた。
日刊スポーツ2014年10月23日付紙面より

圧倒されるような存在感で会場を包み込んだ。快活な表情で登壇したスペシャルゲストのブレア氏は、「グローバリゼーションの一番の特徴は、世界が相互依存的になることだ」と話し始めた。グローバル経済を例に、「欧州基金に懸念があれば、世界市場に影響を及ぼす。FRBが量的緩和を縮小すると公表すると、即座に世界各国に影響が派生した。」と世界に与える影響の強さと速さを説明。同時に「国が貿易を増やしたり、関係を築いたり・・新しい市場が開放されるとき、成功は築かれる」とグローバル化によるチャンスも示唆。
(中略)
自身の体験によって「(労働党の)私は左派。(保守党の)サッチャー氏は右派といわれたが関係ない。大切なのは心が開いているか、閉鎖されているかだ」と投げかけ、「心が開いている人はグローバル化をチャンスと感じ、閉じている人は脅威と感じる」と持論を述べた。首相の頃、サッチャー元首相から何度かアドバイスをもらったというエピソードも紹介。党の枠組みを超えた交流が国益をもたらしたという。その上で「左派や右派という見方が政治的な決定を下すときの邪魔になる。世界が変わっているから、現状を変えていかなければいけない。安倍氏もそう言っている。」と日本の現政権への理解を示した。
講演に聞き入った半田氏は「素晴らしいスピーチ」と絶賛。サッチャー流の市場原理主義を、部分的に取り入れたブレア氏の政策『第3の道』について、「その路線が英国の景気回復につながった。どのように改革していったのか。これからの日本のヒントになる」と英国首相を3期務めたリーダーを称えた。
グローバル化の課題についても積極的な意見交換が行われた。元フィリピン大統領のラモス氏は「グローバル化の側面は、平和と繁栄という結果であるべき」とした上で、世界共通の敵を①エボラ出血熱②国際的なテロリスト③気候変動④貧困ーと定義。特に「貧困は死にいたる人類の最も総合的な敵。世界中の何十億人もの人々がチャンスを与えられていない」と熱弁をふるった。課題の克服には対話こそが大切だという持論を展開。「相手と協議することが合意につながる。解決に至らなくても話し合わなければいけない。関係性が促進され、いつしか解決へ導かれる」とプロセスにも意味があると考察した。
それを受けたブレア氏は「貧困国のインフラや教育システムの整備、投資を富裕国は支援しなければならない」と言明。「テロは宗教を乱用し暴力を作り出す。私と違っているならお前は敵とみなすテロには勝たなければならない」とも発言した。
フィリピンの独裁政権を平和的交代に導いたラモス氏だけに、各国が大量破壊兵器を保持する現状を憂慮。「米国は8500発、ロシアは1万発、フランスやドイツも持っている。大量破壊兵器が一つあれば、第3次世界大戦は始まってしまう」と警告し、「第3次世界大戦を望む人はいますか?」と聴衆に呼びかけて、世界平和がグローバル化の成功を左右すると示した。「なぜ、私たちはこんなにも傲慢でいじめ合うのか?世界が一つになり、発展と繁栄を実現しなければいけない。この1世代の間で、世界を家族だと思えるようにしてください」。戦争を体験した86歳は力強いメッセージを送るだけでなく「日本・フィリピン・米国が強固な同盟を結べば、国連に対抗できるかもしれない」と新たな枠組みによって、アジア太平洋の平和的な発展が実現すると示唆した。サミットの総括には「覚えてほしい3つのパスワード」として①思いやり②団結③チームワーク、とまとめ、聴衆から熱い拍手を浴びた。
サンケイスポーツ2014年10月23日紙面より

(追加で追記)
2部構成のサミットの第1部で基調講演を行なったジョン・ハワード氏は、経済面でグローバリズムがもたらすメリットとデメリットを指摘した。冒頭ではオーストラリア史上2番目に長い12年間首相を務めた経験から、「過去30年の経済のグローバル化は貧富の差を生み出し、数億人を貧困に追いやりました。今後も増える可能性はありうる」と言及。世界規模の経済の結びつきが逆に負の連鎖を起こす可能性を懸念する一方で、「過去の日本や昨今の中国、ベトナム、インドネシアの台頭は経済的な潜在能力を表しています。(その恩恵をもたらす)グローバリゼーションは貧困の敵ではなく、友と思うべきです」との見解を示した。
モデレーターを務める半田氏は、緊張の続くアジア情勢に対する米国の姿勢を問題提起。米高官として、東アジア・太平洋地域を担当した経歴を持つキャンベル氏に「今後もアジアの平和には日米関係が軸となります。大幅な軍事費削減を打ち出す米国の立場と政策を語っていただければ」と直球質問をぶつけた。これに対しキャンベル氏は「グローバル経済のコックピットがアジア太平洋です。経済面のチャンスに加え、安全保障上のパートナーとしてもアジア政策は減らせません。これからも米国がアジアで力を発揮するために日本と取り組むことが重要です」と米国の立場を示した。
半田氏はさらに「安全保障、日米関係という話が出てきましたが、ここまでの話も踏まえて日本の方向性をお願いします」と政権与党の要職を担う高村自民党副総裁にも見解を求めた。高村氏は「日米関係はキャンベル氏のおかげで4年前より良くなりました。4年後は、私のおかげで良くなったと言われるようになりたいです」と今後の日米関係への思いを吐露。さらにいまだに賛否両論のある集団的自衛権にも触れ、「アジアの安全保障が激変するなか、国の存立のために最低限の集団的自衛権はあるのではないでしょうか?仮に朝鮮半島で動乱が起き、米艦船が攻められた時に自衛隊が守るのはそれに該当します」と持論を展開した。また日本が歩むグローバリズムの方向性として、「(過去の歴史から見ても)平和外交と抑止力は大事です。その上でアジア太平洋の平和に貢献することが必要」と語った。
東京スポーツ2014年10月28日付紙面より
