
G20世界宗教サミット2019 閉幕、平和・人・ 地球をテーマに諸問題を議論

G20世界宗教サミット(2019 G20Interfaith Forum in Japan)が、無事、開催されました。後日内容についても詳しく紹介できればと思いますが、世界の宗教指導者と各国の政府関係者が、お互いのことを理解し、良い知恵を出していくことの必要性を感じました。そうじゃなければ解決できない問題が多いのではと思います。
昔から、政治家や経済人は宗教のことを深く理解せず、避ける傾向があるように思います
宗教指導者は、弱者によりそい、道徳的な理想を説きますが、経済や政治は、合理性や、善悪含めた現実的な対応をしますから、すれ違いが生じることが多いです。
ワールドメイトの深見東州先生は、宗教とビジネスは矛盾するものではなく、区別して共存できると信じ、実際にそうされてきました。神道は経済に宗教的なドグマを持ち込まないので、それが可能なのかもしれません。
今回のサミットでは、平和、人々、惑星というテーマに沿って、世界規模の大きな課題が山積みであることを思い知らされました。宗教指導者と政府関係者や財界人が互いを理解し合い、良き知恵を出せるかどうかにかかってきますね。

日本における宗教の役割について考える
今回のG20世界宗教サミットのテーマとは関係ありませんが、日本では宗教の扱いが、世界に比べて特殊だなと思いました。日本のマスコミやメディアが、社会における宗教の役割を推進させるように働きかけることはほとんどありませんからね。
以前、ワールドメイトで深見東州先生が、マザーテレサの話をされたことがありました。
マザーテレサは来日した時に、日本は物質的に豊かな国で、食べ物に飢える人は少ないかもしれないが、精神的に飢えている人は大勢いることに気がつき、周りの人たちが手を差し伸べてあげなくてはならないことを伝えたそうです。そして、先進国では孤独という病が進んでいることを、マザーテレサは生前に指摘していました。その時の深見先生のお話では、たしか「都会の孤独をどう救うのか」という表現で話されていたように思います。
それで、最近のニュースを見て気がつきましたが、今、アメリカや英国などでも孤独という病が深刻な問題になっているそうです。日本ではどうかというと、その問題になっているアメリカや英国よりも、もっと孤独を感じる人が多いことも知りました。
2007年の、ユニセフの15歳を対象にした調査では、「自分は孤独」と感じている子供の割合が、対象となる24カ国中ダントツトップという結果が残っています。この24カ国は、欧米圏の豊かな国と、アジアでは日本だけを対象にしたものでした。2位のアイスランンドが10,3% なので、その約3倍の29,8%が孤独だと答えた日本は、異様なほど突出していました。
大人にもその傾向があり、2005年の、OECDの社会的孤立に関する調査では、スポーツや教会、地域の文化活動など仕事以外の日常生活において、友人や職場の同僚などの知り合いに会っているかという質問に対し、日本は全てに対して「めったにない」「全くない」と答えた割合が、他の先進国に比べてダントツトップという結果でした。
反面、一人は束縛されることがないので、気楽でいいという人も大勢いると思います。日本の中高年の男性は、若い頃から周りと協調して生きることを当然のようにしてきた人も多いと思います。老後はむしろ一人で、自由気ままに生きる方が楽で良いと思う人も多いでしょう。
ただ、そうは言っても、じわじわと本当の孤独感に心を蝕まれている人も、おそらくかなり増えているのでしょうね。中高年もですが、若年世代にも早くから孤独感を感じる人が多いというのは気になります。
マザーテレサは、「世界で一番恐ろしい病気は孤独」と言っていたそうです。極度な貧困や肉体的な病に苦しむ人に向き合ってきた人の言葉だけに、とても重い言葉ですね。
一般的に言われている解決方法としては、様々なコミニティに参加したり、スポーツや趣味で仲間と繋がったり、ボランティア活動に参加するなどが言われています。また、宗教的な集まりに参加するという意見も巷にありました。
新宗連が打ち出している国民皆信仰という考え方は、深見東州先生も賛同されています。ワールドメイトは新宗連には属していませんが、自分に合うところで良いから、何も信仰を持たないよりは、何かの信仰を持つ方がベターであるという考えは、孤独に苦しむ人を救う一つの鍵になるかもしれません。
なんらかの宗教コミニティに参加するだけでも良いと思いますし、そこから信仰心が芽生えるなら、確実に孤独や不安に対して強くなれると思います。深見東州先生も、都会の孤独を救うのも宗教の大事な役割だと言われていました。

ただ、日本のメディアでは、宗教が孤独を救うなんてことは、まず言わないし、推奨しないでしょう。放送コードなどの問題もあるのかもしれませんが。
日本では自殺の問題もあります。2003年には年間3万4千人もの人が命を絶っており、最近は2万人を少し超えるくらいにまで減りました。それでも働き盛りの50代を中心に、自殺者の割合は先進国では韓国に次いで高い数値ですね。
この10年では14歳以下の自殺者が増えていて、若年層においては世界でもトップクラスの割合です。いじめを苦にする自殺が必ずしも多いわけではなく、自殺をする理由もいくつかが重なっており、複雑のようです。
青少年の自殺、働き盛りの自殺にしても、宗教で自殺を勧めるところはありませんから、自殺を踏みとどまる人も出てくると思います。宗教に入信すれば、絶対に自殺しないとはいいきれませんが、宗教的教育によって、自殺願望から踏みとどまるきっかけになるケースは確実に多くなると思いますね。
宗教だけで世の中の苦しむ人たちを救うことはできませんが、宗教によってしか、あるいは宗教が関わらなければ救われない問題も多々あると思いました。

月刊誌に掲載された世界宗教サミットの発言
ここからは追記になります。月刊誌「財界にいがた」2019年7月号に掲載されたが世界宗教サミットの取材記事から、その一部を紹介します。

G20世界宗教サミットが日本初開催—ホスト役の半田晴久氏が世界平和実現の架け橋に
G20大阪サミットの開催を3週間後に控えた6月7日、東京ディズニーリゾートからほど近い千葉・幕張新都心でもうひとつのG20サミットが開幕した。G20世界宗教サミットがそれだ。
会場のホテルニューオータニ幕張には国内外の宗教家、政治家、経済人ら約300人が一堂に集結。 PPP (平和・人・ 地球) をテーマにテロ、貧困、地球環境など世界が抱える諸問題について宗教・宗派の枠を越えた活発な議論が交わされ、そこで得られた提案や政策がG20加盟国のリーダーらに伝えられるという画期的なフォーラムだ。
こうしたG20世界宗教サミットはG20サミットの開催国で毎年開かれており、今年で6回目を迎える。 日本で開催されるのはいうまでもなく初めてで、主催する国際団体「G20インターフェース・フォーラム・アソシエーション」が神道系宗教法人「ワールドメイト」のリーダーを務める半田晴久氏 (別名・深見東州) にホスト役を打診。
半田氏がこれを快諾したことから、同氏がそれぞれ総裁と理事を務める世界開発協力機構 (WSD) と世界宗教対話開発 (WFDD) が全面協力し、3団体による共同開催となった。
初日の7日は非公開で会議が開かれ、一般公開となった全体会議には8、9日の両日に計4000人超の参加者が来場。 総合司会を務めた半田氏は冒頭の挨拶で、「世界のGDPの7割がG20加盟20カ国で占められている一方、世界人口の98%が何らかの宗教・信仰に関 わっています。したがって世界が抱えている諸問題の解決は、われわれ世界の宗教家・宗教 団体の協力なくして実現し得ません」と訴えかけた。
今回のサミットには英国、ア イルランド、ニュージーランド の3カ国から元首相が参加。 こ のうちデイヴィッド・キャメロン元英国首相は、奇しくも欧州連合 (EU) 離脱をめぐる混乱に伴うメイ首相の引責辞任当日の来日となった。
そのキャメロン氏は基調講演 で、「テクノロジーは大陸を越えて世界の人たちをつなげてくれる半面、人々や国の間に溝をつくり、ものによっては隔離主義につながっている面もある。このため世界の国々や政府は一体感を共有し、共通の対応策を見いだすべきだ」と参加者らに呼びかけた。
その一方で「テクノロジーが雇用を破壊するとの指摘はナンセンス」とし、「月へのロケッ 打ち上げなどを警戒する人もいるが、新しいプロセスや素材の開発は将来への投資であり、われわれはイノベーションの恩恵を享受すべきだ」と主 張。
さらに首相時代に自身が国民投票を実施して是非を問うEU離脱問題については、「EU離脱は間違った判断だったといまだに思っている」と悔しさをにじませた。
キャメロン氏の基調講演に続いて、「我々はなぜ平和と人類、地球に希望を持てるのか ?」と 題したパネルディスカッションを開催。キャメロン氏に加えて、モデレーターの半田氏、エンダ・ケニー元アイルランド首相、サー・ジョン・キー元ニュージーランド首相、グラサ・マシェル・モザンピーク初代教育大臣 (ネルソン・マンデラ夫人) の5氏が登壇した。
世界経済・政治に通じた半田氏が着目したのはブレグジッ ト (イギリスのEU離脱) による影響で、元アイルランド首相 のエンダ・ケニー氏に「アイルランドはEUの中で (英国を除いて) 唯一、母国語が英語の国です。キャメロンさんには言えないような、冷めた目をしていらっしゃいますが・・・」とEU離脱後の英国を鋭く質問。
これに対してエンダ・ケニー 氏は「誰にも分かりません。党首がどうするかにかかってい る」と無難にかわした。
また半田氏が「国連が定めるSDGs (持続可能な開発目標) の17項目の中で最も重要な目標は ?」と問うと、グラサ・ マシェル氏は「私の経験上、教育です」と即答。「素晴らしい世界を築くためには人間のクオリティーが担保されていなければならず、男女の別なく自分が親になったときに素晴らしい人間を育てられることが不可欠。しかし宗教者の中でこうしたSDGsに関わっている人たちはまだまだ少ない」と指摘した。
また元ニュージーランド首相のサー・ジョン・キー氏は同じSDGsについて、「17項目すべて大事だが、ニュージーランドではかねてより男女平等を推進してきた。男女の別を問わず、一人一人がスキルに基づいた最高の人生を送るべき」と語った。
このほかエンダ・ケニー氏も 「G20加盟のすべての政府がSDGsの推進に取り組むべき。 ともに自由貿易を支持してきた 日本の安倍総理にもそのように認識してほしい」と注文。
さらに元英国首相のデイヴィッド・キャメロン氏は「SDGsには個人的に関わりがある。2015年を期限とするSDGsには性別の平等性や持続性が網羅されていなかった。また、私が正義の実現と法の順守、民主主義の整備を強く求めて、SDGsの16項目ができた。政府が国民の期待に応えるべく自由な民主主義を目指し、そしてすべての国から汚職を排除すべきだ」と力強く語った。
話題は世界に6500万人もいるとされる難民の問題にもおよび、登壇者からは「難民は積極的に受け入れるべき」「難民受け入れとテロの発生は別個に考えるべき」などの意見が相次いだ。
以下、2日間に わたって登壇した スピーカーらの印 象深い発言をピックアップした。
キャサリン・マーシャル氏 (バー クレー宗教・平和・世界問題 センター上級研究員) 「信仰は命と環境を大切にする 思い。宗教活動をする人は誰よ りも信頼されている」
ファイサル・ビン・アブドルラーマン・ビン・ムアマール氏 (KAICIID事務総長) 「平和・平等・正義の実現はす べての宗教に共通している。不 安と不信の壁を取り払うのは 簡単なこと」
ウィリアム・F・ベンドレイ氏 (世界宗教者平和会議事務総長)「自由はとかく矮小化され、むやみに消費されもする。われわれ宗教家は徳を持って人々の人権を守っていかなければならない」ヴィシュワナット・カラド氏 (UNESCO人権・民主主義・平和担当者)「アインシュタインは “私は神 を信じる” と言った。科学、宗教、霊性の結合のみが人間に平和をもたらす」
ナジャド・グラブス氏 (リュブリャナ大ムフティ、ムスリム ユダヤ教徒リーダーシップ委員会共同議長) このサミットに集まったのは、われわれの違いを祝い、祈りを捧げるため。人々に感謝しない者は、神にも感謝しない」
グンナー・スタルセット氏 (ノルウェー教会オスロ名誉司教、世界宗教者平和会議名誉会長) 「宗教の戦略とは、変革を促すこと。平和は第一に、人々の心の中で建設されなければなら ない」
ローマ法王フランシスコ 「多くの人々が疑問を抱いていることに対して、宗教は光を当てることができる。 今、世界は平和のために和解をしなければならない瀬戸際に立たされている」(駐日ローマ法王庁大使・ジョゼフ・チェノットゥ大司教による代読)
安倍晋三首相「2015年に国連採択となったSDGsの実現に向けて、国民の誰一人取り残さずに取り組んでいく」 (萩生田光一・内閣官房副長官による代読)
ロード・ジョージ・キャリー氏 (第103代カンタベリー大主教)「世界では今、さまざまなことが起こっている。政府の役目は社会を秩序化させること。自己の利益が正義の要請を促す」
ゲレット・W・コング長老 (末日聖徒イエス・キリスト教会 十二使徒定員会) 「昭和天皇は私の庭で蝶を見 なくなったのはなぜだろう ? とおっしゃられたという。地球環境にとってこのお言葉の意味するものはあまりにも重い」
グンナー・スタルセット氏 (ノルウェー教会オスロ名誉司教) 「新しい時代に向けて教育が必 要だ。ミャンマー政府が民主化を進めるにあたって、宗教にはできることがある」
デニース・コグラン氏 (カンボジア・イエズス会難民サービスリーダー、ノーベル平和賞受賞者) 「人身取引は人道に反する犯罪。世界では年間1500億円もの奴隷労働市場があるとさ れる。われわれは2030年までにこれを終わらせると宣言しなければならない」
モハメッド・アブニマー氏 (KAICIID上級顧問) 「お互いが同じような人間だと分かるのに3日間かかる。 違いを考える、違いの恐怖を乗り越える。宗教間対話を進めるためには変革を求めなければならない」
ジョナサン・ダフィー氏 (アドベンチスト開発および援助協会会長)
「闇が深まるときには社会だけを批判しないこと。宗教者は平和を万人に求めなければなら ない」アザ・カラム氏 (国連人口基金上級顧問)「お互いの価値を共有し、宗教・宗派を越えてパラダイムシフトを実現しよう」
ジョシュトローム・イサーク・クリータダム氏 (ヴァチカン統一的人間開発局エコロジー部長) 「地球は私たちの共通の家であり、単なる環境ではない。G20 加盟国のリーダーたちに働きかけて2020年を「アースデー (地球の年)」に定めよう」
世界の宗教界の重鎮らが一堂に会すフォーラムはとかく堅苦しい雰囲気となりがちだが、たびたび登壇する半田氏がウイットに富んだギャグやジョークで会場を沸かせ、来場者を和ませた。最後はホスト役を務めた半田氏語録から。 半田晴久氏 (別名・深見東州、 宗教法人ワールドメイトリーダー、世界開発協力機構総裁、カンボジア大学総長・教授) 「マイ・ネーム・イズ・ハンダ。 ハンダは車のホンダに似ていますが、ハンダのほうがクオリティーは良いと思います」(英語で)
「会場のみなさんには昼食に美味しいお弁当を用意しました。 いくら良い会議が行われても 弁当が美味しくないと評価は低い。逆に、そこそこの会議でも弁当が美味しいと参加者は “良い会議だった” というのです。これを、私は伝統文化ならぬ “弁当文化” と呼んでいます」 「今日は、会場内に忍者の格好をしたスタッフが何人もいます。なぜかというと、外国の方々は日本には今も忍者がいるものと信じる人がいる。私はみなさんの夢を壊したくないのです。本当は、昨日も忍者スタッフを配置したかったのですが、 キャメロン元英国首相サイドから断られました。ニュース映像に忍者が映り込んでいると、 キャメロンさんが日本に遊びに来たと思われ、英国メディアにたたかれるからです。 残念でした。
「財界にいがた」2019年7月号誌面より