第17回東京大薪能が、9月23日に都庁・都民広場で開催
2014年の第16回以来、4年ぶりに都庁都民広場にて、第17回東京大薪能が開催されます。
深見東州先生が会長をされる世界芸術文化振興協会 (IFAC) 主催により、1998年から都民広場で始まった東京大薪能ですが、一時期はお台場の潮風公園で開催されていました。
再び都庁に戻ってきたのが2009年で、それからは東日本大震災の年は中止になりましたが、ほぼ毎年8月に開催されていました。ですので東京の夏の風物詩のように言われていました。
お台場での開催は、海がすぐそばに見えるロケーションで、不思議な空間が醸し出されていました。都庁では、バックに近代的な高層ビルが林立し、本来なら古典芸能のイメージとは似ても似つかない風景ですが、ところがこの二つの世界が重なり合うと、なんとも言えない能の幽玄さが際立つから不思議ですね。
今回はYouTube Liveで生中継もあります。現地に来れない人でも鑑賞できます。宝生流の一流能楽師による能楽が無料で見れるという、能楽や古典芸能に興味のある人にとっては、見逃せない舞台になると思います。
では、今回の演目や詳細ですが、以下のようになっています。
第17回東京大薪能 概要

会場:東京都庁・都民広場
主催:NPO法人 世界芸術文化振興協会(IFAC)
後援:文化庁 東京都
平成30年9月23日(日)
18時〜
入門能楽鑑賞講座 半田晴久IFAC会長
19時〜
【演目】
- 能 「羽衣 盤渉」 シテ 渡邊荀之助
- 狂言 「附子」 山本則俊
- 能 「土蜘」 シテ 辰巳満次郎
- 祝言仕舞 「草薙」 半田晴久
次に各演目のあらすじを紹介します。
「羽衣」 盤渉 のあらすじ
のどかな春の朝、三保の松原に住む漁夫白龍(ワキ)が、今日も釣りに浜にやってくる。すると、どこからともなくかぐわしい香りが漂ってくるので、不思議に思いあたりを見回すと、一本の松の木の枝に美しい衣が掛かっている。
珍しいので白龍が、家の宝にでもしようと持って帰りかけると、一人の女性(シテ)が現れて呼び止め、その衣は自分のものであり、天人の羽衣だから返して欲しいという。それを聞いた白龍は、それならば国の宝にしようとなおさら返そうとしない。
天人は羽衣がなくては天上に帰れないと、空をあおいで嘆き悲しむ。その哀れな様子に心打たれた漁夫は、羽衣を返す代わりに天人の舞楽を見せて欲しいと頼む。天人は喜んで承知し、羽衣を着け、月世界における天人の生活の面白さや、三保の松原の春景色を称えた舞を舞っていたが、やがて霞たなびく天空の彼方へと消えてゆく。(解説 辰巳万次郎、掘上謙)
この羽衣には、後半の舞の部分において、いくつかの特殊演出が存在するそうです。これは、美しく舞奏でる天女の姿をいかに演出するのか、様々な工夫を重ねてきた結果のようです。
今回は盤渉の特殊演出になり、舞の時の笛の音色が盤渉長という高めのメロディになるそうです。また、月へと帰る場面でもすぐれた演出が見られるそうです。おそらく、通常の羽衣の序の舞、破の舞とは少し違う優美なものになると思われます。
「土蜘」 のあらすじ
源頼光は、このところずっと健康がすぐれず病床にふせっている。そこへ典薬頭からの薬をもらって、胡蝶という侍女が見舞いにやってくる。そして、すっかり気の弱くなっている頼光に、治療さえすれば治りますと、慰めの言葉を残して帰って行く。
すると、いつの間にきたのか、病室の隅に一人の僧がたたずんでいて、頼光に病状を尋ねながら枕元に近づいてくる。頼光が怪しんでその名を尋ねると、「我が背子が来べき宵なりささがにの、蜘蛛のふるまいかねてしるしも」という古歌を詠じたかと思うと、たちまち蜘蛛の本性を現し、千筋の糸を投げ掛ける。
頼光は枕元にあった刀で斬りつけると、確かな手ごたえを残しながら、その妖怪は消え失せる。
物音に驚いて駆けつけた警護の独武者は、頼光の話を聞いてあたりを調べると、おびただしく血が流れているので、その血の跡を辿って化生の者を退治に出かけることにする。
やがて、身ごしらえをした独武者は郎等を引き連れ出発し、古塚を見つける。そこで力を合わせてその塚を崩すと、中から土蜘蛛の精が姿を現し、千筋の糸を繰り出し独武者たちを悩ますが、ついにそれを退治して一行は都に帰って行く。(解説 辰巳万次郎、掘上謙)
狂言「附子」
今回は狂言「附子」が演じられます。毎回、狂言が密かな楽しみの僕としては、今回も期待するものがあります。附子というのは、トリカブトの根を乾かして精製した猛毒のことです。
さて今回の演目では、主人が、自分が出かけた後に好物の黒砂糖を食べられないようにと、家来の太郎冠者と次郎冠者に、これは猛毒の附子だから、附子の方から吹いてきた風に当たっても命を失うから気をつけるようにと言って出かけるところから始まります。
ところが好奇心旺盛で、怖いもの見たさに二人は桶を開けると、そこには黒砂糖が入っていたので、二人は取り合って食べてしまいました。さらにその食べた言い訳を作るためにと、主人の秘蔵の天目茶碗を壊し、掛け軸を破ります。
そして主人が帰ってきたときに泣きながら、留守の間に寝ないようにと二人で相撲を取っていたところ、大事なものを壊してしまいました。それで、死んでお詫びしようと思い、猛毒の附子を食べたんですが、まだ死ねませんと・・・。
それを聞いた主人は・・、この続きは見てのお楽しみにしたいと思います。あらすじを書いているだけでも可笑しくなってきますね。
祝言仕舞「草薙」
深見東州先生は宝生流の能楽師です。世界最大の能楽同好会である、IFAC・宝生東州会の会主も務められています。
今回は最後に半田晴久IFAC会長(深見東州先生)が、祝言仕舞「草薙」を演じられます。久しぶりに能舞台を拝見するので楽しみにしています。
仕舞というのは、地謡というコーラスをバックにして、能面などは付けずに、紋付袴で1曲舞うものです。能に比べるととても短いですが、その能の面白い部分を取り出して歌うので、能のエッセンスと言ってもよいものです。
今回深見東州先生が演じる、この「草薙」という演目は、宝生流にしかないとのことです。
簡単なあらすじを書くと、草薙の剣は三種の神器の一つになりますが、熱田神宮で経を講じている上人のところへ、ある花売りの夫婦が現れます。そこで草薙の剣の縁起を語り、いなくなります。そして本当の姿である日本武尊と橘姫が現れて、草薙の剣で鈴鹿の夷(未開人)を退治した時の様子を語るというものです。
仕舞では、日本武尊が草薙の剣で退治する場面が演じられるそうです。
能楽では、その日の演目の最後にめでたく終える慣わしとして、めでたい台詞を短く謡います。それを「附祝言」と言います。高砂の中の一節「千秋楽は民を撫で。万歳楽には命を延ぶ。相生の松風。颯々の声ぞ楽しむ。颯々の声ぞ楽しむ。」が有名ですね。ただ今回は謡ではなく、仕舞の形式でこの薪能をめでたく締めくくるとのことです。











