
2度の世界オピニオンリーダーズサミットを振り返って

今月はHANDA.TVで、何度も「世界オピニオンリーダーズサミット」を見ました。限られた時間内に、とても有意義な議論がつまっているので、何度か聞いてようやく理解できたように思います。
紛争解決をテーマに、英国のトニーブレア元首相をはじめ、エジプトのヒシャム・バドル外務次官、駐デンマーク・アイルランド特命全権大使のブレンダン・スキャネル氏などの政治や外交の専門家たちの話しは、とても示唆に富んだ内容だと思います。
ちなみに、現在放映されているのは第1回世界オピニオンリーダーズサミットの内容です。第2回も昨年、すでに開催されました。そちらはビル・クリントン元米国大統領と、コリン・パウエル元国務長官が登場します。こちらもすばらしい内容でしたので、再びHANDA.TVで見たいものです。

世界の紛争解決へ向けて
第1回世界オピニオンリーダーズサミットは、紛争解決への貴重な話しが盛りだくさんです。中でもトニー・ブレア元英国首相、アイルランドのブレンダン・スキャネル氏は、英国とアイルランド間の数百年にわたる紛争や問題を解決し、和平をもたらす交渉に関わってきた中心人物です。
彼らの話には、リーダーシップを持って辛抱強くやりとげた重みを感じます。「過去の歴史認識の合意は一切していない。そこは未解決のまま、合意しないままおいといて、未来をどうするのか、忍耐強く合意した」のだそうです。
過去の歴史認識をお互いが主張し譲らなければ、絶対に問題が解決することは無いでしょう。それは、今の韓国や中国を見ていても、事情は違いますが、よくわかります。
日本は、戦後中国を含むアジアを中心に、世界に貢献してきた事実があります。戦前はいろいろなことがあったとしても、日中、日韓の関係も、戦後の歴史を重視した未来志向でいきたいものです。

ところでトニーブレア氏は、「停戦しているときでないと、紛争の解決は困難」と言われてました。紛争中はお互いに感情的になっているので、解決への話し合いが難しいそうです。いったん争いを止めようと言う機運が出てからがチャンスのようです。
いずれにせよ世界の様々な紛争、死傷者は出てなくとも緊張関係にある国家間の問題など、少しでも前向きに解決してもらいたいと、誰もが願っていると思います。
深見東州先生は、ワールドメイトでは宗教的な平和への祈りを欠かされません。ワールドメイトの活動以外では、こうやって現実の世界平和に貢献する活動をされています。
また、紛争によって傷ついた人々の救済にも積極的に取り組まれています。ワールドメイト会員の僕は、そんなところも誇りに感じるところです。
世界オピニオンリーダーズサミットに出席した伊藤憲一氏のインタビュー記事
毎日新聞社が発行する月刊誌「毎日フォーラム」2014年 5月号に、「世界オピニオンリーダーズサミットに出席して」というタイトルで、日本国際フォーラム(JFIR)理事長の伊藤憲一氏のインタビュー記事が掲載されました。追記でそちらの記事を紹介したいと思います。(GOLSは、Global Opinion Leader’s Summitの略称です。)

「世界オピニオンリーダーズサミット(GOLS)」が、昨年9月6日(第一回)と11月16日(第二回)に、東京で開催された。第一回GOLSには、トニー・ブレア元イギリス首相が、そして第二回GOLSには、ビル・クリントン元アメリカ大統領が出席し、さらに海外からはコリン・パウエル元アメリカ国務長官が、そして日本からは高村正彦自民党副総裁(第一回)、小池百合子元防衛相(第二回)などが参加した。
モデレーター(進行役)は、主催の特定非営利活動法人世界開発協力機構(WSD)の半田晴久総裁が務めた。世界平和に貢献するための議論を行うGOLSに、パネリストとして出席した公益財団法人日本国際フォーラム(JFIR)の伊藤憲一理事長に、あらためて議論の内容やGOLSの意義について聞いた。
- まず初めに、GOLSに出席した感想を一言お聞かせください。
伊藤 9月と11月に行われたGOLSの成功は、私にとって殊の外喜ばしいことでした。それだけに、GOLSの発したメッセージを日本国民にきちんと伝えなければならないと、その責任を強く感じています。
このGOLSは、JFIRだけでなく、外務省、防衛省、在日アメリカ大使館なども後援しており、安倍晋三首相、岸田文雄外相からは「会議の成功を祈る」とのメッセージをいただきました。会場も数千人の聴衆が詰めかけて、満席の盛況でした。
- 海外の出席者の中からは、どのようなメッセージが発せられましたか。
伊藤 ブレア、クリントン両氏をはじめとするパネリストたちからは、示唆に富む貴重なメッセージが次々に発信されました。ブレア元イギリス首相は「世界は21世紀の今、急速な変化を遂げつつあります。しかし中東で何が起こるにせよ、世界の未来を決めるのはアジアだと思います。その変化する世界の中で、すべての国が自国の居場所を探し求めています。日本やイギリスのように人口やGDPの縮小が避けられない元大国にとっては、舵取りの難しい時代ですが、あくまでも人権や民主主義のような価値観を守り抜いていくことが大切だと思います。」との発言がありました。
- クリントン元アメリカ大統領からは、どうでしたか。
伊藤 クリントン氏は、テーマである「世界における今後の日本の役割」について半田総裁と議論を交わしました。2人は満場の拍手をもって迎えられましたが、クリントン氏の、大統領時代と全く変わらない姿が印象的でした。満面の笑みを浮かべ、手を振り声援にこたえながらゆっくりと壇上を歩く姿は、昔見た姿と同じです。クリントン氏も半田総裁も、旧知の仲で、大変リラックスした雰囲気での対談でした。
対談の冒頭で、クリントン氏は、母親の再婚相手が強度のアルコール中毒で、頻繁に暴力を振るわれるなど、厳しい少年時代を過ごしていたと、半田総裁が紹介しました。半田総裁は、それこそが、クリントン氏の人情の機微を知る人格や、ズバ抜けた才能の基になったと賞賛しました。
- 直接クリントン元アメリカ大統領からの言葉を聞いて、どのように思われましたか。
伊藤 経済最優先を掲げたクリントン政権は、一般的には、重化学工業からIT、金融に重点を移し、好景気をもたらしたと評価されています。今でも「平和と好景気の時代の大統領」として人気は高く、最近の調査でも60%以上の人が好感を持っていると答えているそうです。そのクリントン氏が、大統領退任後に「クリントン財団」を創立し、世界の保健改善や環境保全、子どもの健康増進のために、貧しい国を飛び回っていることは、大変意義深いことだと思います。
- 今後の日本へのアドバイスはありましたか。
伊藤 日本でも問題となっている高齢社会への対応策について話がありました。まず大事なことは、若者の人材確保が重要であり、「若者は国の宝」である。さらに労働力を補うためには「移民への受け入れ」や「女性の労働市場への参加の向上」が必要との指摘がありました。また、若い人たちの活発な国際交流も必要と説き、日本から海外へ、海外から日本への留学生を増やすことの重要性が述べられました。
- パネリストの一人として参加し、GOLSで訴えたかったことは何ですか。
伊藤 私からはこの機会を捉えて、安倍首相が国連総会や日本の国会で「積極的平和主義」を標榜していますが、この言葉は4年前に、JFIRが政策提言「積極的平和主義と日米同盟のあり方」の中で発表した言葉であると申し上げました。
そしてオバマ大統領が「アメリカは世界の警察官ではないとの考えに同意する」と述べたことで、アメリカ社会全体が「内向き」姿勢になっていますが、もしそのことについて世界が危惧の念を表明し、日本もアメリカに「大丈夫か」と聞くつもりならば、その前に日本自身が同じことを自問自答しなければなるまいと思います。その場合、日本の答えはどうあるべきでしょうか。
JFIRが提言したのは「積極的平和主義」という考え方です。私は、6年前に拙著「新・戦争論: 積極的平和主義への提言」を上梓しています。日本は世界平和の「消極的受益者」にとどまるのではなく、「積極的貢献者」にならなければならないと思います。

- 2回開催されたGOLSは盛況に行われたようですが、その要因はなんでしょうか。
伊藤 GOLSを企画し、実行したWSDの半田晴久総裁の存在が大きかったと思います。今の日本に、トニー・ブレア元イギリス首相やビル・クリントン元アメリカ大統領のような世界的な指導者を、このような形で日本に呼べる人は、半田総裁以外にはいないと思います。
- 理事長がご存じの半田総裁の人物像を教えてください。
伊藤 半田総裁は、別名の深見東州でも知られる画家、書家、彫刻家であると同時に、詩人、脚本家、小説家でもあります。また、グラミー賞歌手のマイケル・ボルトンとの共演で武道館を満席にするポピュラーソング・シンガーでもあります。また能楽師でもあり、オペラ歌手、京劇俳優でもあり、まさに多芸多才、レオナルド・ダ・ヴィンチのような方です。さらに10社に近い超優良企業のオーナー経営者でもあります。
- 半田総裁との出会いは。
伊藤 初めて半田総裁と出会ったのは、2009年3月。私は1999年から「日本予防外交センター」(現「日本紛争予防センター」)の理事長としてパレスチナ、スリランカ、アフガニスタン、カンボジアなどで紛争予防・平和維持活動を展開していましたが、カンボジアでの事業のパートナーがシアヌーク国王の弟殿下であるサムデク・ノロドム・シルブット殿下でした。そのシルブット殿下から「伊藤さん、面白い日本人がいるから、会ってごらんなさい」といって、紹介されたのが、半田総裁です。
- 半田総裁は、GOLSの議論では、どのような役割を果たしましたか。
伊藤 半田総裁は、モデレーターとして、パネリストの方々の意見を大変上手に引き出していました。半田総裁の進行のもと、外交や経済政策といった政治的な内容から、おのおののリーダーシップ論に至るまで、幅広い白熱した議論が展開できたと思います。また、半田総裁のユーモアで、ブレア氏やクリントン氏が、破格の笑顔を見せていたのは印象的でした。また、類いまれなる経営や外交の実践家である半田総裁の意見には、リアリティーと説得力があったと思います。
- そのほかのオピニオンリーダーズからは、どのような発言や意見があったのでしょうか。
伊藤 コリン・パウエル氏のリーダーシップについての話が印象的でした。パウエル氏は、米国務長官をはじめ、4つの政権で要職を歴任しており、リーダーとしての経験も豊富です。レーガン大統領と一緒に仕事をした際に学んだことや、米国務長官時代のエピソードなどを交え、パウエル氏ならではのリーダーシップ論が聞けたと思います。
また、1回目のGOLSでは、エジプトから現職の外務次官ヒシャム・バドル氏が来日し、緊迫するエジプト情勢の実態を語ってくれました。日本の報道からは得られない内容で、大変有益でした。
- 今後のGOLSの役割と方向性について考えていることは何ですか。
伊藤 今後も、国際舞台の最前線で活躍している「オピニオンリーダー」を招聘し、世界平和に貢献するための議論を進めていければと考えています。それを通じて、多くの皆さんに「世界の現状を正しくとらえ、良き日本の道を選択する目」を養っていただければ、日本の未来も明るく前向きになるのではないでしょうか。そんなヤングリーダーを、日本から輩出する一端を担えればと思います。
(毎日フォーラム 企画特集「世界オピニオンリーダーズサミットに出席して」「世界オピニオンリーダーズサミットの意義」より)
伊藤憲一氏が理事長を務める日本国際フォーラムの会報にも、第2回世界オピニオンリーダーズサミットを後援した報告が掲載されていました。
