
ダスティン・ホフマンと深見東州氏のトークショー

今年の「クリスマス・てんこ盛りアート展示会」は、12月6日から10日まで、ヒルトンお台場で開催されました。12月8日には、ダスティン・ホフマンが来場し、深見東州先生とのトークショーが行われました。

ダスティン・ホフマンは82歳になりますが、言葉も明瞭で、しっかりとした記憶にもとずいての、穏やかな受け答えが印象的でした。そして、スクリーンで躍動していた頃の往年の面影も、ときおり感じられましたし、いい感じで年をとっているなと思いました。また、欧米人の俳優の中では小柄ですが、大きく見えましたね。
トークショーでは触れていませんが、ダスティン・ホフマンは10歳の頃、自身がユダヤ人であることを知ります。先祖はキエフ(ウクライナ)とルーマニア系アシュケナジーユダヤ人だそうです。祖父や、曽祖父の代に、ロシアでの反ユダヤ主義による迫害を受け、米国に逃れてきます。
ダスティン・ホフマンは、ユダヤ教の教育を受けてなく、ユダヤ人だけど信仰は深くないという発言を、昔はしていたそうです。多くのユダヤ人が住む米国であっても、ユダヤ人であることを公言しない人がいることからも、当時はユダヤ人に対しての偏見が強かったのでしょうね。
ダスティン・ホフマンはユダヤ系だからこその、白人俳優にはない、独特のキャラクター俳優としての存在感があります。キャラクター俳優は風変わりな珍しい役を演じることが多く、本来は主演する役ではないそうです。
しかし「卒業」への主演抜擢と、その大成功により、それまでの主演俳優の概念を変えてしまいます。同時に、キャラクター俳優から脱皮したと言われています。
背が高くかっこいい二枚目白人俳優が、ハリウッド主演男優のイメージでしたが、ダスティン・ホフマンはかなり違うタイプですからね。
そんなダスティン・ホフマンが、深見東州先生とのトークショーで、「卒業」や「クレイマー・クレイマー」など、出演した映画の裏話もしてくれました。
「卒業」のラストは、誰もが強烈な印象に残るシーンだと思いますが、深見東州先生は、花嫁を奪取した後のバスの中でのダスティン・ホフマンのしてやったりという表情と、これから先どうなるのだろうという不安な表情が入り混じった演技が印象に残ったそうです。
この微妙な感情が入り混じるラストシーンは、理想と現実の中で揺れ動く結婚というものの未来を暗示しているのか、様々なところで話題になってきたようです。マイク・ニコルズ監督はもっと笑えと、怒鳴りながらこのシーンを撮っていたと言われています。
しかし、この日のダスティン・ホフマンの話を聞くと、ラストシーンは、撮影では中程で撮ったとのことです。その時点ではどのような形で映画の中に挿入されるのかよくわからなかったらしく、どのように感情表現をしたら良いのかもわからなかったそうです。


ニコルズ監督が、キャサリン・ロスのどこが好きかとか、人生においてもし本当に一緒になったとしたら幸せになれると思うか?とか、一緒になってもその後うまくいくと思うかなど、いろんなことを聞いてきたそうです。そんな中であのシーンは撮られていたことを知りました。
そうやって監督も、最後はどうなるのかまだわからないから、いろんなシーンを撮ったんだよということでした。キャサリン・ロスもこの映画でブレイクしましたが、キラキラする清楚な美しさと、主人公との純粋な恋に葛藤する演技が印象に残りましたね。
そして、サイモン&ガーファンクルの名曲「サウンド・オブ・サイレンス」の主題歌が見事にマッチした映画でもありました。

それから「クレイマー、クレイマー」では、ちょうど最初の奥さんとの離婚調停の真っ最中だったそうです。
そんな大変な時に、映画でも同じような役をやって本当に大丈夫なのかと、周りから心配されてしまったそうです。しかし、かえってチャンスなんだと受け止めます。今の現実そのままを出せるからと思ったからと語りました。
ダスティン・ホフマンの映画への取り組みは、リサーチにあると語りました。映画撮影に臨む時は、いつも、この映画はうまくいかないんじゃないかと、ビクビクしていたそうです。
なので、どうやればこの映画を成功させることができるのかを考えます。映画というのは、野球のバッターのように、数回に一回でも成功すれば良い方なのだそうです。
まず役作りにおいて、その役と同じ背景を持つ人を探し交流するそうです。「レインマン」に主演した時は、自閉症の人と交流したことが知られてますが、離婚の役にせよ、犯罪者の役にせよ、そのような似通った体験を持つ人を探してともに時間を過ごし、その人の気持ちを理解するのだそうです。最終的に、その人たちが見て納得できる演技になることを目指していると言っていました。
それから、違う人生を歩んでいる人たちを見ても、どこかで違う人生になっただけであり、元々は同じところから出発していると考えて演技するそうです。そのように考えることで、より、その人の歩んだ人生に共感し、思いを巡らすことができ、深く咀嚼できるのかもしれません。

さすが、ハリウッドの名優になると、話す内容も違うなと思いながら聞いていました。
次の言葉にもなるほどと思いました。それは、離婚に至る時でも、愛が全く無くなったのではないとのことです。いっしょに生活していくことができなくなって、離婚ということになるのですが、まだ愛は残っている中で離婚をまとめなければならず、そんな痛みを感じる状況の中で自分が嫌になり、それが相手に対する激しい憎しみとなって出ることがあるのだそうです。
そんな複雑な感情を、クレイマークレイマーで表現したいと、監督に告げていたとのことです。

そう言われると、あの映画には、そんな揺れ動く複雑な感情や葛藤が見事に演じられていたように思えてきます。
離婚は、憎しみあって離婚する人も多いと思いますが、そのように愛がまだ残っている中での離婚になっている人もいるのでしょう。ダスティンが、「離婚している人もたくさんこの会場にいるでしょうからわかりますよね」、と言った時は、会場から大きな笑いが起きました。
そこで深見東州先生が面白いジョークをかまされ、大爆笑となりますが、その言葉は割愛させてもらいます。
面白い話は続きます。アニメ「カンフーパンダ」では、初の声優に挑戦します。その映画は見てませんが、ダスティン・ホフマンは収録を楽しみにしていたそうです。
この映画は、アンジェリーナ・ジョリーやジャッキー・チェンなど、大物俳優が声優として出演しています。声優の収録現場では、声優は自分一人で、あとは監督とプロデューサーがいて、色々と注文をつけられ、吹き替えをしたそうです。
いつもは相手役の俳優がいて、やり取りの中から表現をしていきますが、まるで新人俳優のような扱いを受けている気がして、妻には、こんなひどい体験は初めてと言ったとか。
しかし映画は世界中で大ヒットし、会った人からは、今までの演技で一番良かったよ、なんてことまで言われたそうです。演技はしてないのにどういうことなんだと思ったそうですが。
(ダスティンホフマンは、シーフー老師(レッサーパンダ)役を務めた)
話はまだまだ続きますが、ざっと覚えている範囲から書きました。
最後に、まだまだこれから活躍してほしいとの希望を、深見東州先生が熱く語られました。すると今度は、ダスティン・ホフマンが深見東州先生の印象について語りました。
ダスティンは、深見東州先生の活動について調べたのだそうです。その中でカンボジアの病院における救済活動を知って、素晴らしいことをしている人だと理解できたと語りました。
同時に、共通する部分も感じたそうです。ダスティンは映画という芸術を通して、陽の当たらない人々や理解されない人々に焦点を当て、表現しようとしているそうです。深見東州先生がされている活動も、全く同じではないかと思ったそうです。半田さん(深見東州先生)の場合は、さらにその人たちの命まで救っていると語っていました。
ダスティンが言うには、例えば事故が起きて、足を切断したり、その後大変な苦しみを負う人たちがいても、ニュースなどでは何人が重症だとか、そんな感じで終わってしまう。その人たちのことがよく伝わらない悲しい現実があると言ってました。
しかし映画では、そんな人たちを取り上げて、その人たちの苦しみや実態というものを演じることで、世の中に伝えようとするそうです。
半田さん(深見東州先生)は、そんな人たちに対して直に向き合い、しかも助けていると言っていました。そんな神様に愛される素晴らしい仕事をされているので、ますます神の恩恵がありますようにと語り、この日の映画芸術を語るトークショーは終わりました。