
キリ・テ・カナワ出演「東京国際コンサート」、世界一美しい歌声を披露

9月10日、なかなZERO大ホールにキリ・テ・カナワさんを迎えて「東京国際コンサート」が開催されました。
「東京国際コンサート」概要
告知での紹介文には、「このコンサートは、芸術文化の振興と、国際交流を目的とするものです。ジュリアード音楽院声楽科の大学院生や卒業生と、世界的オペラ歌手をゲストアーティストとして招きます。一流と一流の共演を鑑賞することにより、世界水準の歌唱力や表現力、演技がどのようなものかを肌で体験することができます。オペラ歌手や声楽を目指す人にとって、大きなヒントとなることでしょう」と書かれていますね。
約1000人が、事前申請をすることで、参加費無料で観客として来場できました。
公演日 : 2013年9月10日(火)
会場 : なかのZERO大ホール(住所東京都中野区中野2-9-7)
主催 : NPO法人世界芸術文化振興協会 (IFAC)
後援 : 外務省、文化庁、東京都、アメリカ合衆国大使館
出演
キリ・テ・カナワ(ソプラノ)
深見東州(バリトン)
コナル・コード(バス)
テレンス・デニス(ピアニスト)
フィービー・ブリッグス(ピアニスト)
メレディス・ラスティグ(ソプラノ)
大西宇宙(バリトン)
キム・ユジュン(テノール)
リー・クナ(ピアニスト)

ジュリアード音楽院の若いソリストも出演
第一部で深見東州先生とコナルコード氏、第二部ではジュリアードの大学院生と卒業生が、そして第三部でキリ・テ・カナワさんの歌を聴くことができました。
大変豪華な出演者ですが、無料で観れるようにしているのは、「高尚なクラッシック音楽を、一般の人たちへ広め、もっと聴いてもらいたい」という主催の世界芸術文化振興協会(IFAC)の意向だそうです。
深見東州先生が会長を務められる世界芸術文化振興協会(IFAC)は、毎年都庁で薪能を無料で開催し、伝統文化を多くの人たちに楽しんでもらえるよう尽力されています。同様に声楽やクラッシック音楽も、より多くの人に広めるための活動を行っています。
普通のクラッシックコンサートは解説無しでどんどん進みますが、今回は適宜、深見東州先生による楽しくてためになる解説が入りました。僕のような素人には、その方が何倍もクラッシック音楽を理解でき、楽しめますのでありがたいことです。
都庁で行われる薪能も、最初に能楽講座で解説を行って始まりますね。これも伝統文化に馴染みの無い人が見ても楽しめるように、少しでも理解を広めたいという趣旨からでしょう。芸術の知識があればあるほど、良さを十分に理解できると思います。ファンも拡がっていくことでしょう。
それでコンサートのことになりますが、まずジュリアードの若手ホープの歌手たちが、本当にすばらしい歌唱力なのに驚きました。未来のスター候補だけのことはありますね。ジュリアードでの教育も素晴らしいでしょうし、さすが、世界一のジュリアード出身の歌手だと思いました。
そのジュリアード音楽院の学長さんも来日されています。深見東州先生と大変親しそうにされていました。
ジュリアードの学長は、IFACの支援に対して感謝するだけでなく、今回出演した大西宇宙さんという素晴らしい才能を持つ若者が、ジュリアードに来れたことにも深く感謝されていたとのことです。
IFACとジュリアード音楽院が共同主催する、第一回「ジュリアード音楽院声楽オーディション」最優秀者に選ばれ、渡米したのが大西宇宙さんでした。
今回の「東京国際コンサート」でも、噂に違わず本当に素晴らしい歌声と実力のほどを聞かせてくれました。まるで体が楽器のように響き、鳴っている感じでした。声量もあり、声も良いし、発音も正確で、なにより技術が素晴らしいですね。
そんな才能ある人でも、もしジュリアード入学のオーディションを日本で開催し、多額の援助をする制度が無かったら、ここまで才能が開き、成長できなかったかもしれません。そういう意味で、日本の希有な才能にチャンスを与え、世界的な歌手へ育てていく素晴らしい活動をしているのが、IFACなのだなと思いました。

「東京国際コンサート」の話に戻しますが、圧倒的な歌唱力をもつキリ・テ・カナワさんは、最後にたっぷりと歌ってくれました。半端じゃない美しい歌声でした。30代の声にしか聞こえない若々しく、繊細な強弱を使い分ける天使のような声でした。
絶大な人気と実力で一世を風靡した世界的なソプラノ歌手であり、当時、世界で一番美しい声と言われた歌手だけのことはありますね。
軽く歌われているように見えたのですが、しっかりと美しい声が、さまざまな表現で、ピアノと調和して響いてきます。やはり、この方もからだのすべてが楽器ですね。しかも最高の音色を持つ楽器です。才能ある人が磨けば、ここまで人は歌えるのですね。聞き惚れてしまいました。
このようなキリ・テ・カナワさんの歌を日本で聴けるなんて、なかなか機会は少ないでしょう。もっと多くの人に紹介しておけば良かったと思いました。
そのキリ・テ・カナワさんは、深見東州先生が若い声楽家を育て、チャンスを与えている活動に大変感心されていて、とても尊敬されていることも知りました。
「ジュリアード音楽院声楽オーディション」特別座談会

実は、コンサートの前日9月9日に、「ジュリアード音楽院声楽オーディション」の特別座談会が行われ、USTREAMで視聴することができました。
内容ですが、声楽オーディションの内容についてではなく、ジュリアードでの体験談や教育について、また、世界のオペラ事情について、たっぷりと興味深いお話を聞けました。
ジュリアード音楽院学長のジョセフ・W・ポリシ氏、キリ・テ・カナワ氏、コナル・コード氏に加え、ジュリアード音楽院大学院オペラ専科に進学し、数々の国際声楽コンクールで優勝し、ジュリアードを卒業したばかりの大西宇宙さん、さらに韓国の歌手キム・ユジュンさんを交えての座談会でした。
音楽誌に掲載された東京国際コンサートの記事
ここからは追記で、後にMOSTLY CLASSIC (モーストリー・クラシック)に掲載された「東京コンサート」の記事を紹介します。
キリ・テ・カナワが出演した昨年の東京国際コンサート ジュリアード音楽院の卒業生らも出演し多彩なプログラム
第1回東京国際コンサートは昨年9月10 日 (火)、なかのZEROホールで開かれた。 「普通のクラシックコンサートはすーっと歌ってすーっと帰って終わりですが、普通じゃありませんので、すいません」とマイク で客席に話しかける深見東州。これからモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の解説を始めた。「ドン・ジョヴァンニは女 たらしの最低の男で地獄に落ちて死んでいくのが『ドン・ジョヴァンニ』」。さらにダ・ポンテ3部作の「フィガロ結婚」「コジ・ファ ン・トゥッテ」も〝深見流〟に説明する。「『コジ・ファン・トゥッテ』は恋人の貞操を試 そうとする最低の内容」。しかし、「それに 最高の音楽がついているのがモーツァルト。 そんなにくそまじめに聴くようなものではありません」と笑わせた。
「ドン・ジョヴァンニ」より「さあ、窓辺においで」を歌うと、ニュージーランド出身のバス、”レポレロ歌い”のコナル・コードが登場。二重唱「おい、おどけ者、わしを困らせるなよ」を披露した。そして有名な「カタログの歌」。曲間には解説を入れ、衣装ではなくタキシードだが、演技をしながらの歌唱に思わずオペラに引き込まれていく。
続いて「カタリカタリ」「帰れソレントへ」というナポリ民謡、日本の「故郷」を披露。 最後に2人でドニゼッティ「ドン・パスクワー レ」より「ああ! あられもない炎がわしの体中を焼き尽くす」を歌った。 栗林が「天性の美声」と称する深見の歌唱力と、世界的活躍を見せるコナルの歌声が響き渡り、第1部は幕を閉じた。
第2部は、ジュリアード音楽院声楽科の大学院生と卒業生が出演。 最初に「セビリアの理髪師」より「私は町の何でも屋」を、伸びやかで張りのある声で歌ったのは大西宇宙。第1回ジュリアード音楽院声楽オーディションで最優秀を獲得し、同音楽院に入学。今後を期待されるバリトンの逸材だ。
ピッツバーグ・ オペラなどで活躍するメレディス・ルスティヒと大西で「ドン・ジョヴァンニ」より「お手をどうぞ」、キム・ユジュンが「愛の妙薬」よりネモリーノの名曲「人知れぬ涙」、などを歌い、最後はキムと大西がビゼー「真珠採り」より「聖なる神殿の奥深く」。〝未来来のスター” たちに盛んに拍手が送られた。一般の人にクラシックを愛してもらうのがIFACのテーマ」 と半田晴久
第3部はキリ・テ・カナワのコンサート。その前にステージに登場した深見は「ジュリアード音楽院は単に音楽家を育てるだけでなく、音楽家のリーダーを育てる。 大西君もジュリアードに行ってよりうまくなった。IFACは一般の人に高いレベルのオペラを広める趣旨がある。一般の人にどうクラシックを愛していただけるのかを考え、文化の交流、文化芸術の振興がこのコンサートのテーマ、IFACのテーマです」と話した。そして客席にいたジュリアード音楽院のジョセフ・W・ポリシ学長を紹介した。
続いて華やかなピンク色のドレスで登場したキリ・テ・カナワに万雷の拍手が送られた。 68歳とは思えない美貌だ。テ・カナワはニュージーランド・ギズボーン生まれ。ロンドン・ オペラ・センターへ留学し、1968年、サドラーズウェルズ劇場の「魔笛」でデビュー。 ウィーン国立歌劇場には「オテロ」のデズデーモナ役でデビューした。90年、グラミー賞 最優秀オペラ録音賞。 オペラは引退したが、 コンサート活動は続けている。
「日本に戻れてうれしい。日本は大好きな国です。今日招待されたのは本当にサプライズでした。半田様のやっていることは素晴らしいといつも思っていました。特に世界中の若い人たちにチャンスを与えている活動に感銘を受けています。私の財団でも同じようなことをしていますが、半田様に比べたら非常に小さなものです」と挨拶した。
コンサートは、モーツァルト「魔笛」のパミーナのアリア「ああ、私にはわかる、消え失せてしまったことが」で始まった。リヒャルト・シュトラウスの歌曲「明日!」やリストのドラマチックな「平和は見つからず」まで5曲を一気に歌いきった。続いてイギリス 伝統音楽の「スカボローフェア」は芸術歌曲のような香りを醸し出す。 得意とするアルゼンチンの作曲家グアスタビーノの「なんて可愛いマドレセルバ」、最後はプッチーニの「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」をしっとりと歌いあげた。年齢を感じさせないダイナミクス、美しいピアニッシモが観客を魅了した。
MOSTLY CLASSIC (モーストリー・クラシック)2014年7月号誌面より